家族が集まるお盆は相続対策の好機!遺産分割協議でもめないための対策とは?

当センターでは相続に関して日ごろ多くのご相談をお受けしており、その中で「将来の相続に関して親・家族と話したい気持ちはあるけれど、気軽に切り出せるテーマではないのでためらっている」という内容の相談がかなり多く寄せられます。

被相続人となる予定の方が積極的に事前対策に動かれるケースでは問題も起きにくくなりますが、そうでない場合はお子さんなどが親の相続の話題を切り出すことに躊躇してしまうことが多く、この気持ちはよく分かります。

それでも、相続は事前に準備しておかないと後で苦労することが多く、避け続けるわけにもいきません。

本章では相続の事前準備をしていなかった際のトラブルや、遺産分割時にもめないための対策について解説していきますので、ぜひ参考になさってください。

事前に話し合いや準備をしておかなかったことの後悔

まずは相続対策をしてこなかったためにどのようなトラブルが起きたのか、実際にあった事例を挙げて見てみましょう。

①被相続人の遺志が分からない

人の死は突然訪れます。

遺言書が残されていて故人の気持ちがしっかりと伝えられるケースはいいとして、遺言書が残されないケースでは被相続人となる方の望みや考えを聞き取っておかないと、故人の遺志を引き継ぐことができません。

尊重されるべき故人の遺志が分からないと、遺族は対応するための拠り所がなく、話し合いもスムーズに進められません。

②相続人同士の関係がぎくしゃくする

生前に被相続人となる方からしっかり話を聞いておかなかった、あるいは一部の相続人は聞いていても、それを他の相続人予定者と共有できていないと、遺産の取り分などでもめて関係がぎくしゃくします。

寄与分や特別受益、遺留分といった、対応が難しい問題が生じてくることもしばしばです。

③不動産の扱いでもめる

遺産となった不動産の扱いでは何かと問題が生じやすく、誰が不動産を引き継ぐのか、現金など他の遺産と合わせて遺産分割をどうするのかなど、衝突しやすい問題が急に浮上してきます。

さらには、相続発生後に登記簿を確認したら過去の相続の際に相続登記がされていなかったなど、大変な問題が発覚することもあります。

相続登記の未了が発覚したら、当センターへご相談ください。

④遺産のありかが不明

実務上で遺族の方が苦労するのが遺産の把握です。

不動産、銀行預金、有価証券などは複数の土地、複数の金融機関、複数の口座、複数の証券会社の存在がある前提で財産調査が必要です。

また借金などマイナスの財産についても調査が必要で、こちらは実務的に難しく、ノウハウを知らないと調査漏れが出るので注意を要します。

いずれにしても、生前に被相続人となる人の資産についてある程度把握しておかないと、相続発生後に財産調査にかなり苦労します。

⑤税金面で不都合が出る

相続が起きれば相続税の処理をしなければならないので、上記の財産調査もスピード感を持って進めなければなりません。

相続税の納税が必要な場合、その原資を十分に確保できるかという心配が出てきます。

必要に応じて不動産の換価処分などを検討しなければならず、こちらにも一定の時間を要します。

でも実家で「相続」というテーマは扱いにくい…

そうはいっても、親の死を前提とした話題はやはり切り出しにくいという人は多いと思います。

そこでお勧めしたいのが、お盆など家族が集まる時期やシーンを利用して切り出す方法です。

おじいさん、おばあさんなどご先祖様の話題も出やすいお盆は特に好機といえます。

ただ、お盆の時期に全てをこなそうとしなくて大丈夫です。

お盆中に親の気持ちをヒアリングして、資産をすべて洗い出し、家族間で不動産の承継者を決めて…など焦る必要はありません。

個別の問題に応じた本格的な対処は後日少しずつ進めればいいので、お盆の時期などには「そろそろ亡くなった後のことも考えなきゃね」「将来介護が必要になった時のことを考えて資産状況を整理しておいたら?」など自然に水を向ける形で切り出してみましょう。

そうすることで、親の方でも「そろそろ考えなきゃいけない時期かな」という意識を持ってもらえます。

雰囲気が整ったところで、後日改めて個別の問題への対応を少しずつ進めていきましょう。

どのような課題を把握し、対処していけばよいのか以下で見ていきます。

相続人予定者の把握

正確な相続人の確定は相続発生後に行いますが、推定相続人が今現在誰なのか、家族間で共有しておきましょう。

レアなケースですが、被相続人に隠し子がいて、本人が正直に話してくれないなどの可能性もあります。

被相続人となる予定の人が亡くなった場合に誰に相続権が発生するのか、必要に応じて専門家に相談し、関係者間で共有しておきましょう。

相続財産となる予定の遺産の確認

被相続人となる方の承諾を得て、相続財産となる資産を可能な範囲で把握しておきます。

預金、証券類、不動産など各種の資産について、種類や価額、場所を確認します。

預金については通帳や印鑑の保管場所も相続人間で共有しておきましょう。

把握した資産は財産目録を作成し、書面にまとめて共有するのがお勧めです。

また借金などの負債も被相続人となる方に聞き取りを行い、価額や債権者などを把握してまとめておきましょう。

不動産の承継者や分割方法

遺産となる不動産が共有名義となると、将来の相続人がさらなる遺産分割をする際にトラブルになる可能性もあるでしょう。

そのため、トラブルが起きやすい状況を避けるためにも相続する人物をあらかじめ決めておくようにしましょう。

相続した不動産については相続登記が義務化されていますので、期限内にスムーズに登記を行うためにも事前に承継者を決めておくことをお勧めします。

誰も不動産を必要としない場合や、遺産の構成上、換価処分が必要と思われる場合は売却予想価格を把握しておきたいので、不動産会社に査定をお願いしておくと良いでしょう。

相続税の対策

遺産の構成を把握すれば、相続発生時に相続税がかかりそうかある程度予想できます。

もし相続税の支払いが必要な場合は、その原資を用意しておかなければなりません。

原則として現金での一括納付が求められるので、高額となる場合は現金が足りなくなる恐れもあります。

不動産の換価処分で対応できそうか、難しい場合は原資調達をどうするかなどを考えておきます。

遺言書の準備

そしてぜひ準備しておきたいのが遺言書です。

遺言書には故人の望みを記すことができ、法的効力も有するので単に口頭で意思を確認するよりもはるかに安全な相続対策となります。

差し支えないようであれば、被相続人となる方が推定相続人全員に遺産の取り分などを表明し、これを全員で共有したうえで、その内容を遺言書にまとめるのが理想です。

故人の遺志がそのまま書面にまとめられ、その内容は相続人全員が事前に聞いていることですから、トラブルが生じる余地がほとんどなくなります。

ただし遺言書は本人の意思で作成する必要がありますから強要はできないことと、特定の相続人予定者が自分に有利な遺言書を作らせたような場合はトラブルになるので注意してください。

まとめ

この回では事前準備をしておかないと相続発生の際にどのような問題が起こるのかを見ながら、遺産分割でもめないための対策について見てきました。

普段の生活で親の相続の話題を出すのは勇気が要りますが、お盆などの時期をうまく使うことで切り出しやすくなります。

関係者の意識付けをさせるだけでも、その後の話し合いの雰囲気作りがしやすくなるのでで、やんわりと伝えてみてください。

安全な相続対策を考える上では専門家の助言も必要になってきます。

当センターでは法律や不動産、税務などに詳しい専門家が連携して対応致しますので、相続や相続不動産に関するご相談をまとめてしていただけます。

生前のご相談ももちろん可能ですので、ぜひお気軽にご相談をいただけますと幸いです。

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