相続登記のオンライン申請とは?手順や注意点について解説
相続登記のオンライン申請は、手続きの効率化を図る便利な方法として注目されています。
相続登記はすでに義務化が開始されているため、今後はすべての相続人が相続登記を行わなければなりません。本記事では、相続登記のオンライン申請の手順や必要書類、注意点をわかりやすく解説し、スムーズに手続きを進めるポイントについて解説します。
相続登記はオンライン申請が可能に!
相続登記は、従来のように法務局の窓口で行う手続きも引き続き利用可能ですが、インターネットの普及に伴い、オンライン申請も選択肢の一つとして利用できるようになりました。オンライン申請を利用することで、法務局に出向く時間が取れない方や、仕事で忙しい方でも、指定された期限内に効率よく手続きを進めることができます。
また、相続登記は2024年4月1日より義務化されており、すべての相続人が必ず行わなければならない手続きです。今後、法務局の窓口が混雑する可能性も高いため、オンライン申請を活用することで、手続きにかかる時間や労力を削減できます。
相続登記のオンライン申請の手順と必要書類
オンラインで相続登記を行う際は、あらかじめ手続きの流れと必要な書類を正確に把握しておくことが重要です。申請の手順と必要書類について、以下にて解説します。
オンライン申請の手順
相続登記のオンライン申請は、以下の手順で行います。
①必要書類と電子機器の準備
まずは、必要書類と電子機器を準備します。相続登記のオンライン申請には、パソコンだけでなく、マイナンバーカードに対応したカードリーダーが必要です。
②申請書の作成と電子署名の付与
法務局のオンライン申請システム「登記・供託オンライン申請システム」にアクセスし、必要な項目を入力して申請書を作成します。
作成した申請書等に電子署名を付与することで、オンライン申請が可能になります。
③申請情報の送信と登録免許税の納付
必要な書類をスキャンし、電子データとして申請書に添付します。
その後、インターネットバンキング等を使い、登録免許税の納付を行います。
④書類の原本を法務局へ郵送
最後に添付した書類の原本を法務局へ郵送します。法務局が1~2週間ほどで申請内容を審査し、問題がなければ登記が完了します。
その後、登記識別情報通知と登記完了証がオンラインで通知されます。
さらに詳しい手順については、法務局のページをご確認ください。
法務局:https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/fudosan_online03.html
オンライン申請の必要書類
相続登記を行う際には、窓口申請でもオンライン申請でも基本的に同じ書類が必要です。以下が必要となる主な書類ですが、事情によって追加書類を求められることもあります。
遺言書がある場合
- 不動産の全部事項証明書
- 被相続人の戸籍謄本、又は除籍謄本
- 被相続人の住民票の除票(戸籍の附票)
- 相続人全員の戸籍謄本(遺言を受けた方のみ)
- 不動産を取得する相続人の住民票
- 相続関係説明図
- 固定資産評価証明書
- 遺言書
遺言書がない場合の追加書類
- 相続人全員の印鑑証明書
- 遺産分割協議書
- 被相続人の除籍謄本・改製原戸籍謄本(出生時から死亡時まで)
相続登記のオンライン申請の注意点
相続登記をオンライン申請する際は、適切に手続きを進めないと、申請が承認されなかったり、やり直しが必要になったりすることがあります。以下の点に特に注意してください。
①期限内に手続きを行うこと
オンライン申請後、必要な書類を法務局に送付する期限は、申請受付日から2日以内とされています。また、登録免許税の支払いも、申請受付日の翌日までに完了させる必要があります。期限を守らないと申請が無効となってしまうため注意が必要です。
②スマホからの申請はできない
相続登記のオンライン申請はスマートフォンには対応していません。したがって、申請を行う際にはパソコンを使用する必要があります。パソコンを持っていない場合は、郵送申請や法務局への直接申請を検討しなければならないため注意しましょう。
③補正が必要な場合もある
申請内容に誤りがあった場合、法務局から補正を求める通知が送られます。通知には修正すべき箇所と期限が記載されており、期限内に修正を行わなければなりません。
普段は目にすることのない家屋番号などを入力する際に間違いが起こりやすいため、手続きが完了するまでは、補正の通知が届いていないかを定期的に確認しましょう。
相続登記は令和6年4月から義務化がスタート
令和6年4月1日から、相続登記が義務化されました。
相続登記が放置されることで、全国的に所有者不明の土地が増加し、登記簿で所有者が確認できない状態が問題となっています。周辺の環境が悪化し、土地の取引や公共事業に支障が生じる事例も多発していました。こうした社会問題を解決するため、令和3年に法改正が行われ、相続登記が義務化されることとなりました。
相続登記の義務違反時のペナルティ
相続登記を怠ると、ペナルティを科される可能性があります。
義務化に伴い、正当な理由なく相続登記を行わなかった場合は、10万円以下の過料が課されることになりました。正当な理由としては、「相続人が極めて多く、戸籍謄本等の必要書類の収集や相続人の把握に時間を要するケースなど」と法務局が提示しています。
相続登記の猶予期間は3年
相続登記は不動産を相続したことを知った日から、3年以内に手続きしなければなりません。
また、令和6年4月1日以前に相続した不動産であっても、まだ相続登記がされていない場合は、猶予期間である令和9年3月31日までに登記申請を行う必要があります。
すぐに相続登記できない場合は相続人申告登記を利用
すぐに相続登記できない場合は、相続登記の義務を簡易的に履行するために新設された「相続人申告登記」という制度を利用することが可能です。
相続人申告登記とは?
相続人申告登記は、相続人が不動産の相続登記を期限内に完了できない場合に、義務を果たす代替え手段として創設された制度です。遺産分割協議が終わっていない場合でも、相続人申告登記を行うことで、相続登記の義務を一時的に履行したとみなされます。
ただし、遺産分割が完了した後は、改めて相続登記を行う必要があります。また、相続人申告登記は、不動産の権利関係を確定する効果はない点に注意しましょう。
相続人申告登記の方法
相続人申告登記を行うには、相続人が対象となる不動産の特定、所有者の相続開始の旨、および自分が相続人であることを法務局に申し出る必要があります。
申請時には、戸籍謄本などの証明書類を添付し、管轄の法務局に申請します。また、相続人のうち誰か1人が申告登記を行う場合、申請した相続人のみ義務を果たしたとみなされ、他の相続人が義務を果たしたことにはなりません。すべての相続人が申告登記を行うには、全員が個別に申出をするか、連名で申請を行う必要があります。
まとめ
相続登記のオンライン申請は、手続きを効率的に進めるために有効な方法です。
令和6年4月から相続登記が義務化されたことにより、すべての相続人は相続した不動産について期限内に登記申請を行う必要があります。手続きをスムーズに進めたい方は、オンライン申請を活用し、法務局に出向く手間などを省くと良いでしょう。
ただし、オンライン申請にはパソコンやカードリーダーといった電子機器の準備が求められます。また、申請内容に誤りがあれば手続きが遅れる可能性もあります。手続きに不安がある方や複雑な事情を抱えている方は、専門家への相談を検討するのがおすすめです。
当センターでは、遺産相続に関するさまざまなお悩みを解決するための無料相談をご提供しております。トラブルを未然に防ぎたい方、すでにトラブルの渦中におられるという方も、ぜひお気軽にご相談ください。