ついに相続登記申請義務化がスタート!予想されるリスクや注意点など不動産を相続する人・相続した人へ、知りたいことを総まとめしてみました。
いよいよ本年4月1日から相続登記の申請義務化がスタートしました。
当センターではこの話題を以前から丁寧に追い情報発信を行って参りましたが、ここで改めてこの問題の根本に立ち返り、制度創設の背景や国民にどのような手間や不利益が発生するのかなどについて、総まとめとして全体を振り返ってみたいと思います。
もしまだ義務化への対応ができていない人がいましたら本記事を必ず最後までご覧になり、必要な行動を取れるようにしてください。
もう「知らなかった」では済まされない相続登記申請義務化
これまで、相続登記は任意でしたから、過去に発生した相続不動産で相続登記がされていない物件については当初関係者の意識も低く、対応が必要であるとの認識をなかなか持てない人もいました。
そこで法務省や各地の法務局、また法律や不動産などを扱う各業界は、かなり前から相続登記申請について広く情報発信を行ってきたところでした。
相続登記申請義務化も長期間にわたり、案内されてきました。
実際にスタートしましたので、今後は「知らなかった」では済まされません。
相続によって不動産の所有者が変わったら相続人の責任において相続登記を行い、所有者名義人の変更手続きを必ず取らなければなりません。
そもそもなぜ義務化なの?
ここで、なぜ相続登記申請が義務化されたのか、その背景を押さえておきましょう。
元々相続登記は任意でしたので、遺産分割協議が面倒だったり上手く進められない、あるいは登記費用の負担を避けたいなどの理由で放置されるケースが少なからず発生していました。
相続登記がされていない土地は所有者を突き止めることが難しく、例えば公共事業のために自治体が土地を利用したいと考えた時や、災害からの復旧工事を計画するような場面で地権者との交渉ができないという弊害が多く生じるようになっていました。
このような所有者不明の土地はついに九州の面積を超えるくらいになり、日本の国土の20%を占めると言われるようになります。
ここまでくると、単に土地に関する個人の所有権の問題を超え、国として国土の有効利用が大きく妨げられているという認識が強く持たれるようになりました。
所有者不明土地の増加は相続を起因として相続登記がされないことが理由の大半であるため、そうであれば相続登記を義務化しようとなったわけです。
相続登記申請義務化で国民が困ることは?
相続登記の申請が義務化されたことにより、国民には以下のような不利益やリスクが生じます。
①罰則がある
下で見る猶予期間の間に必要な相続登記をしなかった場合は10万円以下の過料という罰則が適用されることになっています。
強制力を持たせることで制度の実効性が保たれるわけですが、国民にとっては大きなリスクです。
②事前準備に手間や苦労がかかる
相続登記の申請手続き自体に一定の手間と時間を取られますが、登記申請の前提として遺産分割協議や多くの資料収集が必要となるので、大きな手間と感じることになるでしょう。
一般の方は慣れない作業ですので苦労を伴うことが多いと思われます。
③自分や親などが不動産を持っていれば必ず関係してくる
自分が不動産を所有していれば将来自分の子どもなどに相続登記の手間をかけることになりますし、自分の親などが不動産を所有していれば自分が相続登記の手間を負うことになります。
相続放棄をするか、不動産を他の相続人に引き取ってもらわない限り相続人は相続登記の義務から逃れられません。
④過去の相続登記未了物件は要注意!
もし過去の相続で発生した相続不動産で相続登記がされていない場合、今の所有者である自分が動いて過去の相続登記をし直さないといけません。
当時の関係者を洗い出し、その人物に連絡を取り、遺産分割協議をやり直してもらうなどの面倒な手配を今の所有者が行うことになるので、「なぜ自分がこんなことをしないといけないのか」と憤りを感じることになるでしょう。
もし過去何代にもわたって相続登記がされていない場合、その負担を考えると恐ろしいものがあります。
猶予期間はないの?
相続登記申請義務化は2024年4月1日にスタートしています。
義務化前に発生した相続不動産で相続登記未了の物件は2024年4月1日から3年以内に、2024年4月1日以降に発生した相続不動産は相続開始から3年以内に相続登記をすれば良いことになっています。
また正当な理由があればさらに一定の猶予を受けられる可能性がありますが、正当な理由は以下のようなものに限られます。
- 過去に相続登記が放置されていたため相続人が極めて多数となり、戸籍謄本等の必要な資料収集や相続人の捜索に時間を要する
- 遺言の有効性や遺産の範囲が争われている
- 登記申請の義務を負う相続人自身に重病等の事情がある
単に遺産分割協議が整わないなどの理由では猶予期間の延長は認められないので、安易に延長の期待を持たないようにしてください。
法務局に相談するには予約が必要
相続登記は個別のケースによって必要な資料の種類が変わるため、自分のケースで何が必要でどのように集めれば良いのか、素人の方では判断が付かないでしょう。
そこで、各地の法務局では相続登記に関して相談することができるようになっています。
ただ、法務局への相談する際は次の点にご留意ください。
- 完全予約制のため事前に毎回、予約を取る必要があります。
- 相談は無料ですが、資料収集などはすべてご自身で作業することになります。
相続の人間関係に不和があるなど、個別のケースで厄介な事情を抱えていることもあるかもしれません。その上で実際に資料収集などに走らないといけないので、相続登記を自分でやるのは事前準備が相当大変になります。
間に合わない、面倒に感じるなら専門家を活用
相続登記は専門家に手続きを依頼することもできるので、相続や法律に関する知識に不安がある、資料収集などの手間を避けたい、役所に出向くために平日に時間を取ることができないなどの場合は専門家を利用すると便利です。
安全かつ速やかに相続登記を実施できるので、手間に感じる人や相続登記の期限が迫っているようなケースではぜひ専門家の力を活用してください。
相続登記は個人の司法書士事務所も対応していますが、個人事務所の場合、業際問題として税金に関する相談や手続きなどは非対応となりますし、不動産の売却や活用などに関する相談にも対応できないなどのデメリットがあります。
当センターでは弁護士、司法書士、税理士など各士業だけでなく、不動産の活用や売却、行政手続きの専門家なども常駐し、相続登記も含めて不動産に関するあらゆる相談を一括してお受けできる体制を整えております。
当センターが窓口となり、相続不動産に関するご相談にワンストップで対応させて頂きますので、ご相談者様の手間が最小限で済みます。
急ぎのケースでも迅速、丁寧に対応させて頂きますので、ぜひ当センターまでお気軽にご相談くださいませ。
まとめ
本章ではついにスタートした相続登記申請義務化について改めて問題の根本から振り返り、想定されるリスクや不利益などについてもまとめて見てきました。
相続登記は事前準備に相当の手間と時間を取られますが、公的な支援体制は脆弱で個人の方が自分で進めるのは難しいケースが多数出てくると思われます。
当センターでは多くの方からご相談を受けており、実際に「こんな大変な作業とてもひとりじゃできないよ」と嘆かれる方がとても多くいらっしゃいます。
それでも、罰則付きで始まってしまった制度である以上放置はできません。
当センターでは事案を丁寧にヒアリングし、ケースに応じた最善の対応方法を提案させて頂くことができます。
初回相談は無料ですので、ぜひお気軽にご相談くださいませ。